見て歩き北九州発 野鳥 一覧
カモ類の分類やエクリプス、交雑について
 カモ類は2種類あって、「淡水ガモ」と「海ガモ」に分類されます。羽模様では非繁殖羽(エクリプス)というのがあり、オスがメスに似ています。またカモ類は交雑があって識別が難しくなります。

 @淡水ガモ(水面採餌ガモ)
 説明 主に川や池で生活するのでこの名がありますが、陸に近い海や河口付近にも居たりするので、もっと明確な「水面採餌ガモ」と呼ばれることもあります。
 種類 マガモ・オナガガモ・ヒドリガモ、カルガモなど
 採餌 水面で水を吸込み、浮いている水草などを濾して採餌します。水位の浅い所では顔だけ潜って水底の水草を食べます。この時は竹の子が生えているように見えます。
 体形 脚は胴の真中についていて、水上では尾を高くしています。翼鏡を持ちます。
説明の写真説明の写真説明の写真
 動作 説明の写真
飛立つ時助走せず、いきなり垂直に飛び立ちます。
 A海ガモ(潜水採餌ガモ)
 説明 海上を主な生活の場にしているのでこの名がありますが、淡水にやって来るものも多いので、はっきりした生活様式の違いを表す「潜水採餌ガモ」と呼ばれることもあります。
 種類 キンクロハジロ・ホシハジロなど
 採餌 水に潜って水底の水草を水ごと吸込んで採餌します。また、水底にいる貝類も食べます。
 体形 体が短かく、脚は胴の後方についていて、水上では尾を水面に浸しぎみです。翼鏡を持つ種類が少ない
説明の写真説明の写真説明の写真
 動作 説明の写真
飛立つときは助走します。
 B<参考>魚採餌のガモ(アイサ類)
 説明 潜水採餌ガモであるが、主に魚を採るので、魚採餌として独自に分けてみました。
 種類 ウミアイサ・カワアイサ・ミコアイサなど
 採餌
 体形 脚は胴の後方についていて、水上では尾を水面に浸しぎみです。
ぬるぬるした魚をくわえるため、嘴には鋸状の突起があります。
 動作 飛立つ時助走します。
 .  

以上のことから、淡水ガモは狭い水域や浅い水深のところで生活できますが、海ガモは広い水域や比較的深い水深のところで生活します。しかし、海ガモが潜って浮かした水草を淡水ガモが食べたりして共存もします。そんな違いを観察すると面白いでしょう。

なお、カモの仲間には、家禽(野生化した鳥を含む)が居て、これらは野鳥ではありませんので、図鑑などには出ていないことが多く注意が必要です。例:アイガモ、 アヒルなど。


エクリプス(非繁殖羽)について
 カモ類のオスは冬前にはメスに似た非繁殖羽になり、これをエクリプスと言います。
説明の写真説明の写真
オシドリの例で、オス(左写真)とメス(右写真の左) 2003.11
説明の写真
エクリプス

夏のオスの非繁殖羽です。
メスに似ますが、くちばしが赤いので、オスと分かります。

北九州市 2005.10
説明の写真
エクリプスへ換羽中

一見オスとメスのように見えますがオス2羽です。

北九州市 2009.9
 カモ類の渡来時、オスはほとんどエクリプスなので、皆メスに見え、汚い色の鳥たちがやって来たように見えます。
 繁殖羽になると綺麗になります。カモ類の繁殖は他の鳥同様4月〜7月なのですが、冬に「つがい」を形成するので、他の鳥に比べて、いち早く繁殖羽になります。

交雑(ハイブリッド)について
 カモ類は交雑が多々あります。この交雑個体をハイブリッドと呼びます。一つの種は遺伝的に独立しており、種が違えば子孫を残せないはずですが、実際には近縁の種間で繁殖地が近い場合、交雑の結果生まれた交雑個体がいます。ごくまれに二代先の雑種としか見えない個体もいるようです。この交雑があるため、カモ類の識別が難解になります。
説明の写真
ヒドリガモとアメリカヒドリの交雑種のようです。

顔はアメリカヒドリっぽいです。
体はヒドリガモ。

顔に緑色の帯があります。
胸・脇・背は茶色(若しくはぶどう色)ではありません。

北九州市 2003.11.30

(参考)
説明の写真説明の写真
ヒドリガモオス(この体) に アメリカヒドリオス(この顔)

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